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東御市6次産業化発見 VOL.13

今回ご紹介するのは、「農事組合法人 北御牧村味の研究会」です。
自前の加工施設をもち、豆腐やおやきなどを自社ブランドで製造・販売するほか、農産物の加工も請け負っています。
地域のおかあさんたちが集まるこの会は、地元では「味研(あじけん)」とも呼ばれ、親しまれています。

村民の体質を改善するため立ち上がった女性たち

今から約40年前、ある調査結果が判明しました。
それは、北御牧村(※1)の村民には、貧血や高血圧の方が多いということ。
「これは一大事だ!」とこの状況を危惧した地元の女性たちは、村民の体質を改善するため、調査、研究、検討を重ねました。

その結果、「大豆」こそがバランスの良い食材であり、それを食べやすい「豆腐」にするのが良いのではないか、という結論に至りました。
そして1985年に「北御牧村味の研究会」が立ち上がり、豆腐作りのための加工施設が建設されるに至ったのです。

地域のおかあさんたちが作るこの豆腐は「みまきとうふ」と名付けられ、日常的に愛されています。

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(※1)北御牧村(きたみまきむら)
現在の東御市北御牧地区。2004年4月に合併し東御市となった。
2つの台地(八重原台地・御牧原台地)を有し、米やじゃがいも、スイートコーンなどの栽培がさかん。

地域を巻き込み、地域に育てられ、地域で循環する

味研のこだわりは、地元産の原料を使うこと、そして地元の人が作ることです。

製造には地元の30代~50代の女性たちが中心となってたずさわっています。
豆腐は1日に600丁製造するほか、長野県の郷土食であるおやきも1日200~300個作っています。
その他、年間50俵分のお餅や大福、味噌5~6tを製造しています。

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委託加工も受けており、『豆腐』『パン』『菓子』『味噌』『惣菜』の加工が可能。
一番要望が多いのは大豆を持ち込んで味噌にする委託加工ですが、年末にはお餅の加工依頼が多くなるそうです。

「地元の生産者から原料を購入し、地元の女性が製造し、地元の方が消費する」という構造は、「地域を巻き込み、地域に育てられ、地域で循環している」とも表現でき、この地域に欠かせない存在となっていることがわかります。

3・サムネ

大豆はすべて北御牧産

豆腐づくりに使用する大豆はすべて北御牧地区のもの。
あらかじめ購入する量を各生産者さんに伝え、その分を生産してもらっています。
そのため、年間に必要な量が安定して供給されており、ロスが出ることはありません。

今回は生産者のひとり、八重原台地で大豆を生産している「株式会社 太陽と大地」代表取締役の柳澤謙太郎さんにお話をお伺いしました。

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写真:柳澤謙太郎社長

『標高約700メートルの八重原台地は東西に遮るものが何も無いので日照時間が長く、寒暖の差が大きいのが特徴です。そのお陰で、実入りのいい大豆が出来ます』

年間30トンの大豆を生産する柳澤さんは、今では「みまきとうふ」しか食べていないとのこと。

『地元の大豆を地元で加工し、ここまで大豆の味そのものを引き出していただいていることに、感謝をしたいです』と感慨深い様子でした。

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写真:大豆の選粒作業。


豆腐の味をそのまま伝えたい

地域密着型であるのも味研の特徴です。
北御牧地区限定ではありますが戸別配達をしており、1日50件程度、1週間で全てのお客様にお届けしています。
戸別配達でみまきとうふを購入している、御牧原台地で宿泊業を営む「御牧原てらす」の小池さんご夫妻にお話をお伺いしました。

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写真:御牧原てらすを経営する小池夫妻。

『みまきとうふは、大豆の味がしっかり強く、食感も良く、まろやかで香りも素晴らしいです。この豆腐の味をそのまま伝えたいので、主に冷ややっこにしてお客様へ提供しています。お客様も大変喜んでお召し上がりになりますよ』

地元産の豆腐ということもあり、自信を持ってお客様に提供しているそうです。

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写真:オリジナルのたれで食べる冷ややっこ

知られざる組合長のストーリー

最後に組合長をを務める小林 敬子(こばやし・けいこ)さんのお話を少しだけお届けします。

小林さんは千葉県のご出身。酪農業を営む家で育ちました。
社会人になってからは東京の郵便局に勤めていました。

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写真:小林敬子組合長

22歳の時、知り合いであった北御牧村出身の女性のもとにお正月休みを利用して訪問したのがこの土地との出会い。
たまたまその時に知り合った酪農業の男性と1年半の交際の末、結婚。
結婚を機に北御牧村に移住しました。

3人のお子様と、毎日忙しくとも幸せな日々を過ごしていました。
しかし、結婚10年目に旦那様がくも膜下出血により逝去。さらにその3か月後には義理のお母様が脳梗塞を発症。
小林さんが33歳、お子様は9歳と7歳と4歳の時でした。
育児をしながら、義母の介護を行い、牛の飼育を行う日々が何年も続きました。

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時は流れ、長男が大学を卒業。
卒業後、実家の酪農を継ぐため、一緒に働いてくれることになりました。
それからというもの、日を追うごとに小林さんの気持ちは楽になっていったそうです。

小林さんが47歳になった頃、長男はすでに一人前となり、心にも時間にも余裕が出来始めました。
そして、酪農は長男にまかせ、自身は味研の組合長を引き受けることにしたのです。

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ちなみに小林さんの趣味は手芸と編物。
地元小学校の手芸クラブでも月2回教えています。

また、1年半前に味研のホームページをリニューアルしたのがきっかけとなり、スマホデビュー。
今では、ブログを更新したり、調べごとをしたり、SNSで様々な人たちと繋がったりすることがとても楽しいそうです。
また、小林さんが暮らす「御牧原」の魅力を発信するために住民有志で結成された「おいでなんし御牧原の会」にも参画しています。

地域のことを想い、地域と深く結び付き、地域で暮らしていく小林さんの生活はこれからも続きます。

【基本情報】
事業者名:農事組合法人 北御牧村味の研究会
住所:〒384-0405 長野県東御市下之城963-1
電話:0268-67-3623
FAX:0268-67-3623
代表:小林敬子
メール:info@ajikentomi.com
ホームページ:http://www.ajikentomi.com/
事業内容:食品加工・委託加工

東御市へのふるさと納税で「味研のおやき」をお礼品として提供しています!
地元の農産物を使って、ひとつひとつ丁寧に手作りしています。
https://www.furusato-tax.jp/product/detail/20219/4973347

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